波及事故のおはなし
- 波及事故とは、ある所で起きた事故が原因で近隣やその地域の電気設備にも停電などの影響を及ぼす(波及する)ことをいいます。
- 低圧(一般家庭や商店など)の場合は、事故のおそれは少なく、広がる範囲も狭いので大きな問題になることは殆どありません。
- ところが、高圧(工場、ビル、大きな店舗など)の場合は停電する設備や戸数が広範囲になり、停電時間が長くなって大きな影響を及ぼすおそれがあります。
- 高圧の事故の大部分は地絡(高圧の場合の漏電)であるため、地絡しゃ断装置(家庭や商店の漏電ブレーカーに相当するもの)の設置が必要なのですが、これを設置していなかったり、設置していても故障などで作動しない場合は電力会社の配電用変電所のしゃ断装置が切れてしまいます。
- 高圧の利用者は配電用変電所に繋がっていますから、切れたしゃ断装置の配電線に繋がっている全部の利用者が停電となってしまいます。
この結果、工場の機械やエレベーターが止まったり、交通信号機が動かなくなったり、コンピューター関係のトラブルや、夜間であれば重要な照明が消えるといったことが起きて社会問題や賠償問題になることもあります。 - 高圧の波及事故を防ぐためには次のような対策が必要です。
①保護装置の設置
地絡しゃ断装置や短絡事故に対する過電流しゃ断器を設置しましょう。
また、高圧の設備は雷にも弱いので、避雷器(アレスター)も設置しておくとよいでしょう。
②信頼性の高い機器
機器は、品質性能が適切なものを選びましょう。
例えば、海岸に近いところでは、ケースが鉄板製ではなく、亜鉛メッキ製かステンレス製の耐塩仕様のものにするほうが得策です。また、引き込みケーブルの端末部分も劣化しやすいところですから絶縁性能の良いものを使いましょう。
③劣化機器の取替え
適切な点検を行って異常の早期発見をするとともに、老朽化した機器は早めに取替えましょう。
機器の寿命は一概にいえませんが、屋外設置で潮風にあたるものは、数年で故障が多発するものもみられます。
波及事故を起こすとイメージダウンや大きな損害につながりかねません。
日頃から設備の様子に気を配るとともに、保護装置の点検や設置の相談を、でんき保安協会に依頼しましょう。
「波及事故防止」のための重点事項
当協会が推進する
「波及事故防止」のための重点事項
外部に及ぼさない
保安責任分界点に地絡保護つきの気中開閉器を設置し、お客さま設備の事故を区分保護するものです。
新・増設の場合は全てGRつきのものを設置するよう定められています。
雷から設備を守る
波及事故原因の上位を占める雷害事故の防止も重要です。
電気設備の技術基準の解釈では500kW未満の需要設備への避雷器の設置は義務付けられていませんが、配電線からの雷の侵入は設備の大小に関係がありません。
大事な設備を雷害から守るために、雷発生地域では避雷器の設置をお勧めしています。