電気の専門用語
- 発電機 ~非常時に備えて~
- IoT家電(スマート家電)
- 波及事故
- 電気事業法の要点解説について
- 小出力発電設備における主任技術者の取り扱いについて
- 点検結果報告書で用いられる専門用語辞典
- 新エネルギー
- 絶縁用保護具
- 絶縁抵抗計
- クランプ式電流計(クランプメータ)
- 検電器
- 常時監視システム
- ポリ塩化ビフェニル(PCB)
- 電力需給用計器用変成器(VCT)
- デマンド(Demand)
- 真空電磁接触器(VMC)
- 高圧カットアウト(PC)
- 断路器(DS)
- 過電流継電器(OCR)
- 配線用しゃ断器(MCCB)
- 零相変流器(ZCT)
- 地絡継電器(GR)
- 変成器(VT)
- 変流器(CT)
- 真空しゃ断器(VCB)
- 高圧交流負荷開閉器(LBS)
- 責任分界点
- 触媒栓
- 制御弁式鉛蓄電池
- 避雷器
- 直列リアクトル
- トップランナー変圧器
- トップランナー制度
- 変圧器
- ブッシング
- 力率
- 進相コンデンサ
点検結果報告書で用いられる専門用語辞典
でんき保安協会の保安担当者がお渡しする『電気工作物の点検結果報告書』には時折専門的な用語が用いられる場合があります。正確な情報をお伝えするために、使用する可能性がある語群を抜粋しましたので、参考にしていただければ幸いです。
日頃よりお客さまに対しては分かりやすいご説明を心がけておりますが、ご不明な点がございましたらお気軽に保安担当者にお問い合わせください。
用 語 | 定 義 |
---|---|
LBS | 高圧交流負荷開閉器の略称。主にヒューズとセットで高圧受変電設備に設置され、メンテナンスや事故時に電気回路を開閉する機器。 |
PCB | ポリ塩化ビフェニルのこと。電気絶縁性が高く不燃性で化学的にも安定した性質を有することから、電気機器の絶縁油として使用されていた。しかし、その毒性から昭和4 7 年に製造が中止され、P C B を使用している機器は所有者による厳正な管理と処理が義務づけられました。 |
キュービクル | キュービクル鉄箱で覆われた閉鎖型の受変電設備。コンパクトで耐候性があり、屋外にも設置できる。 |
限流ヒューズ | 限流ヒューズ高圧電路で大きな電流(短絡電流)の遮断能力を持つヒューズ。電力ヒューズと同義。 |
コンデンサ | 高圧・低圧電路に接続し、力率(電気の効率)の改善、電圧降下の軽減、電力損失の低減を図るための機器。省エネ、省マネーに効果がある。 |
ブッシング | 高圧機器に付属した電路を絶縁・支持する装置で、「がい管」とも呼ばれる。 |
保護継電器 | 電気機器の保護対象物で発生した異常状態に応動するもので、対象機器の保護や事故範囲の拡大防止を目的とする。 |
構内第1柱 | 設置者の財産および責任施設で、電力会社からの電源線を支持する1 番目の電柱。 |
支線 | 電柱の荷重の一部を分担させる支持物(ワイヤーロープ)。 |
リーク | 電気(高圧・低圧)が絶縁物の表面を通じて漏れる現象。 |
トラッキング | 絶縁物表面において、電界と電解質汚染物の複合作用により、徐々に炭化導電路(トラック)を形成する現象。 |
地絡 | 対地(地面)との絶縁状態が失われて電気(電流)が漏れ出す現象。高圧では地絡、低圧では漏電と呼称区別する。 |
絶縁抵抗 | 電気が電路相互間及び地面に漏れる( 短絡・漏電・地絡)ことがない絶縁能力の数値指標。 |
ストライカ機能 | LBS(上記参照)において、3 本(または2 本)のヒューズのうち1 本が溶断動作した際、異常電圧から機器を保護するために付属する開閉器を開放する機能。 |
トリップ | ブレーカーや開閉器類が過負荷や漏電(地絡)事故により開放(OFF)する動作のこと。 |
短絡 | ショートとも呼び、本来絶縁されている二相(または三相)が接触した事で大きな電流が流れると共に火花が散る危険な現象。 |
欠相 | 三相電源が1 線断線により不健全となった現象で、モーター焼損の原因となる。 |
力率 | 電気の効率を示し、電気回路に接続されるモーター機器の割合が多いと悪化する。改善することで省エネになるほか、電気料金の削減にもつながる。 |
波及事故 | 自らの高圧受変電設備で発生した事故が原因で、周辺地域(病院、ビル、工場、交通機関、交通システム等)を停電にする事故。発生から2 4 時間以内に経済産業省に事故報告が必要。 |
新エネルギー
新エネルギーとは |
代表的なのは、太陽光発電や風力発電ですが、これ以外にもバイオマス発電や中小規模水力発電などがあります。( 右図参照) これらは、「再生可能エネルギー」と呼ばれることもありますが、「新エネルギー」は「再生可能エネルギー」のうち経済性の面での制約はあるものの非化石エネルギーの普及を図るために特に必要なものを指し、普及促進のため様々な施策が講じられています。 |
バイオマス発電 |
バイオマスとは、動・植物などから生まれた生物資源の総称です。この生物資源を「直接燃焼」したり「ガス化」するなどして発電します。 代表的なものに家畜糞尿を利用したバイオガス発電や製材廃材を燃料として使用する火力発電などがあります。 |
固定価格買取制度( FIT ) |
再生可能エネルギーの「固定価格買取制度( F IT) 」は、再生可能エネルギー( 「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」) で発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。 電力会社が買い取る費用の一部を電気の利用者が賦課金という形で負担し、再生可能エネルギーの普及を支えています。 |
グリーン電力 |
グリーン電力とは太陽光、風力、地熱など、発電の際に二酸化炭素( C O 2 )が発生しない電力のことです。 電力小売り自由化の進展とともにユーザーが自然エネルギーを選択でき、「環境付加価値」=グリーン電力証書を購入することにより企業活動( 製品、イベント) においても地球環境貢献を対外的にP Rすることができます。 |
グリーンマーク例 |
絶縁用保護具
(1)目的
高圧活線作業や高圧活線近接作業を実施する際に、万一充電部に触れても、人体に電流が流れないよう保護する装備として「絶縁用保護具」があります。
「絶縁用保護具」とは、電気用ゴム手袋、電気用保護帽などのように充電電路の取扱い、その他電気工事の作業を行うときに、作業者の身体に着用する感電防止のための保護具のことです。
(2)絶縁用保護具の種類及び使用方法
充電されている電路の点検、修理などの電気工事を行うため、直接電路に接触したり、近接する場合は、感電を防止するために、絶縁用保護具を着用する必要があります。
代表的な絶縁用保護具としては、電気用保護帽、電気用ゴム手袋、電気用長靴、電気用絶縁衣などがあります。
使用にあたっては注意事項を守り、適正に着用することが重要です。
(3)使用目的、使用範囲及び使用上の注意事項
品名 | 使用目的 | 使用範囲 | 使用上の注意事項 | ||||||||||||||||||||||
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電気用 保護帽 |
主として頭部を感電、機械的衝撃から守るために使用する | 充電部に頭部が近接して行なう場合 |
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電気用 ゴム手袋 |
作業中、手の部分からの感電防止に使用する |
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電気用 長靴 |
作業中、足裏が通電経路にならないために使用する | 電気用ゴム手袋に準ずる |
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電気用 絶縁衣 |
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絶縁抵抗計
(1)目的
電気設備の機器や配線は、絶縁物で電気的に絶縁されています。もし、この絶縁が悪くなれば、漏れ電流が流れて感電や電気火災の危険が発生します。また、絶縁破壊によって電動機や照明器具などの故障や、通信回線等に誘導障害を生じさせることもあります。
そのため、電気設備の絶縁が良好な状態で維持されているかを測定することが必要であり、その際に用いられるものが絶縁抵抗計です。絶縁物に直流電圧を印加しそのときに流れる微小な電流を検出し絶縁抵抗値として表示します。絶縁抵抗計には測定電圧によって計測器が異なりますので、的確な機種の選定と正しい使用方法が重要です。
【絶縁抵抗計の主な使用例(JIS C 1302-2018解説)】
定格測定電圧 | 使用例 | 測定器種別 |
---|---|---|
25V/50V | 電話回線用機器、電話回線電路の絶縁測定 | 絶縁抵抗計 |
100V/125V | 100V系の低電圧配電路及び機器の維持・管理 | 絶縁抵抗計 |
制御機器の絶縁測定 | ||
250V | 200V系の低圧電路及び機器の維持・管理 | 絶縁抵抗計 |
500V | 600V以下の低電圧配電路及び機器の維持・管理 | 絶縁抵抗計 |
600V以下の低電圧配電路の竣工時の検査 | ||
発電中の太陽電池アレイの絶縁測定 (P-N 端子間を短絡する方法) | ||
発電中の太陽電池アレイの絶縁測定 (P-N 端子間を短絡しない方法) | PV絶縁抵抗計 | |
1000V | 600Vを超える回路及び機器の絶縁測定 | 絶縁抵抗計 |
常時使用電圧の高い高電圧設備(例えば,高圧ケーブル,高電圧機器,高電圧を用いる通信機器及び電路)の絶縁測定 | ||
発電中の太陽電池アレイの絶縁測定 (P-N 端子間を短絡する方法) | ||
発電中の太陽電池アレイの絶縁測定 (P-N 端子間を短絡しない方法) | PV絶縁抵抗計 |
(2)測定時の注意点
① | 絶縁抵抗計は、回路が充電状態ではできないので必ず停電させてから測定します。 |
② | インバータの制御回路や電話交換機などのように、半導体素子を使用している電子回路に直接測定電圧を印加すると、それらの機器を損傷させる恐れがあります。その場合は、事前に半導体素子を含む電子回路を切り離してから測定します。 |
③ | 絶縁抵抗値は、測定時の天候や温度、湿度、汚損度により大きく左右されるので、それらを考慮した適否の判断が必要です。 |
④ | 絶縁抵抗計を保管する場合は、高温、多湿、振動の激しい場所は避けて保管します。 |
⑤ | 定期的に(6ヶ月に1回程度)絶縁抵抗計の校正を実施し、精度の確認を行います。 |
【低圧回路の判定基準(電気設備技術基準第58条)】
電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 | |
---|---|---|
300V以下 | 対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧、非接地式電路においては電線間の電圧)が150V以下の場合 | 0.1MΩ以上 |
その他の場合 | 0.2MΩ以上 | |
300Vを超えるもの | 0.4MΩ以上 |
【高圧回路の判定基準目安】
a.高圧機器(一括測定時の参考値)
・6kⅤ回路 6MΩ(雨天時1MΩ)(測定電圧6.6kⅤは5,000V)
・3kⅤ回路 3MΩ(雨天時1MΩ)(測定電圧3.3kⅤは1,000V)
b.高圧ケーブル(5,000V印加の参考値 高圧受電設備規程抜粋)
ケーブル部位 | 測定電圧 | 絶縁抵抗値 | 判定 |
---|---|---|---|
絶縁体(RC) | 5,000V | 5,000MΩ以上 | 良 |
500 ~ 5,000MΩ未満 | 要注意 | ||
500MΩ未満 | 不良 | ||
シース(RS) | 500Vまたは250V | 1MΩ以上 | 良 |
1MΩ未満 | 不良 |
クランプ式電流計(クランプメータ)
(1)概要
電気設備の運転状況を把握するためには、電路や電気機器に流れている電流の欠かせません。
また、電気事故の防止のためには、漏れ電流の測定も必要になります。
本来、電流の測定は電流計を回路に直列接続する必要があり、回路の切離し作業などがあって非常に手間がかかる
作業となります。それに対して、回路の切離しを行なわず、測定したい電線を挟み込むだけで電流の測定を行なうことが
出来る測定器がクランプ式電流計(クランプメータ)です。
左:クランプメータ(一般用)、 右:クランプメータ(大口径用)
(2)測定方法
①負荷電流
負荷電流を測定する場合は、測定したい電線1本(相)のみをクランプ部で挟み込むことで、挟んだ電線に流れている
負荷電流が測定できます。
負荷伝絵流の測定原理 負荷電流の測定状況
②漏れ電流測定
漏れ電流を測定する場合は、電線を一括で挟み込むことで負荷電流が互いに打ち消され、漏れ電流だけを
測定することができます。
なお、測定回路が単相回路の場合は電線2本を一括に、三相回路の場合は電線3本を一括挟み込むと測定で
きます(a,b)。また、単相もしくは三相変圧器の2次側に施されているB主接地線を挟み込むことで変圧器から供給され
ているB主接地線を挟み込むことで変圧器から供給されている負荷設備全体の漏れ電流が測定できます。(c)。
漏れ電流の測定原理(三相回路の場合)
三相回路一括による漏れ電流測定状況 B種接地線による漏れ電流測定状況