でんきのあれこれ

電気の専門用語

責任分界点

 分界点とは境目のことをさします。
 電力会社から高圧で電気の供給を受ける場合、需給地点は、お客さま構内の電柱に設置した区分開閉器(高圧気中開閉器)の電源側リード線と電力会社の引き込み線の接続部分となり、ここが責任分界点となります。

〔架空系から架空線引込の場合〕
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 責任分界点は財産上(電力会社とお客さまの資産の境界)と保安上(事故時の責任区分)の2種類ありますが、通常は一致しているため、単に責任分界点と言っても問題はありません。しかし、以前は保安上の責任分界点が“敷地境界”という考え方も混在していたため、現在でも官庁手続きの際には「財産上の責任分界点」と「保安上の責任分界点」を明記する必要があります。
 また、電力会社の分岐開閉器から高圧ケーブルで直接電気室やキュービクルに引き込むケースがありますが、この場合、需給地点は電力会社の分岐開閉器の負荷側と高圧ケーブルの接続部分となり、責任分界点となります。

〔架空系からケーブル引込の場合〕
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 その他にも様々なケースがありますので、電力会社が発行している供給承諾書などをご確認ください。
 なお、取引用の計量器がお客さまの設備内に設置される場合がありますが、この場合、計量器は電力会社の資産となり計量器に関する保安責任も電力会社が負うことになります。

触媒栓

img2蓄電池には鉛蓄電池やアルカリ蓄電池があり、どちらにも触媒栓が使われることがあります。触媒栓は蓄電池の補水用のキャップ部分などに取り付けられています。
蓄電池は充電が終わる時期に近づくと、化学反応により水の電気分解がおこり、マイナス側端子につながっている陰極と呼ばれる極板から水素ガスが、プラス側端子につながっている陽極と呼ばれる極板から酸素ガスを発生します。
これらの発生したガスが大気中へ放出されるため、蓄電池の内部にある電解液が減少するので、触媒栓を取り付けることにより、発生したガスを触媒の作用により水に還元し電解液の量を維持します。
触媒栓を長期間使用していると水に還元する性能が低下するため、日常の保守点検において蓄電池の液面低下が著しくなってきたら、全ての触媒栓の交換が必要です。なお、一般的な寿命は3~5年といわれています。

制御弁式鉛蓄電池

word01蓄電池といえば、自動車のバッテリーを思い浮かべる方が多いと思われますが、それ以外にもいろいろな蓄電池があります。
今回はその中で「制御弁式鉛蓄電池」についてご説明します。「制御弁式鉛蓄電池」は非常用設備、通信機器、医療
機器などをはじめとする産業用機器に対し停電した時のバックアップ用電源として使用されているほか、電動工具
やエンジン起動用など幅広く使われています。
構造は、陽極板(正極板ともいわれ蓄電池のプラス側端子につながっている)と陰極板(負極板ともいわれ蓄電池のマ
イナス側端子につながっている)の間に微細なガラスマットで作られたセパレーター(隔離板という)と呼ばれる板が挟
まれています。
この蓄電池は、外気中の酸素が入らないように密閉容器となっているため安全弁(ゴム弁や排気弁ともいう)が付い
ています。
通常は閉じている状態ですが、充電器の故障などで蓄電池へ過大な電流が流れた場合、蓄電池の内部の圧力が上
がるため、安全弁を開いて内部の圧力を制御することから制御弁式と呼ばれています。
特徴としては、自己放電が少なく、補水が不要であることからメンテナンスフリーですが、内部の電解液の量が少ない
ため、周囲温度の影響を受けやすいので注意が必要です。

避雷器

word02避雷器とは、受変電設備の引込口などに設置し、落雷などにより高電圧が侵入したとき、機器の損傷を防ぐため大地に放電する機器です。さらに放電した後は、電気を直ちにしゃ断し正常に復帰する機能をもっています。
受電電力が500kW以上の設備は法令で避雷器の設置が義務付けられています。500kW未満の設備では設置義務はありませんが、設備保護や波及事故防止という観点から設置をお勧めしています。

直列リアクトル

word03電気炉や電子機器などから発生する50ヘルツ(東日本で使用されている電気の周波数)の2倍以上の高い周波数を持つ電気を「高調波」と呼び、この「高調波」が多くなると電気機器の異常過熱を引き起こすことがあります。
このため、「高調波」を発生させる工場などから、電力会社の配電線を通して外への流出を防ぐ装置として、コンデンサと合わせて設置・使用する機器です。
また、コンデンサ通電の際、大きな電流が流れると同時に異常な電圧変動が発生します。直列リアクトルはこれらを抑制する役割があります。
※リアクトルはコイル(線状の金属を渦巻き状にしたもの)のことです。