電気の専門用語
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配線用しゃ断器(MCCB)
配線用しゃ断器は、接続される電路(配線)に過大な電流が流れたときに、自動的に電路を負荷からしゃ断する装置で、「ブレーカー」とも呼ばれています。
配線用しゃ断器を設置することにより、配線や器具に許容を超える電流が流れないように保護することができ、配線や器具などの過熱、焼損を防止することができます。
例えば20Aの配線用しゃ断器で保護している家庭の100Vの屋内配線で、電子レンジ(1kW程度)とドライヤー(1.2kW程度)を同時に使用すると、配線に20Aを超える電流が流れることになり、危険な状況になります。このような状況が一定時間経過すると配線用しゃ断器が働いて、配線に流れる電流をしゃ断し、配線や器具に許容を超える電流が長時間流れることを防ぐことができます。
配線用しゃ断器は、定格の電流値と同程度ではただちには働かず、大電流ほど短時間で働きます。また、動力負荷(モーター等)の場合は、始動電流、突入電流を考慮し選定することが必要となり、これらの瞬間的で過大な電流超過によって、しゃ断器が不必要に働かない機種を選ぶことが大切です。
それぞれの機種の特性については、各メーカーで選定のための資料がありますので、設置の際は、負荷および配線の太さにより適正なしゃ断器を選ぶ必要があります。
配線用しゃ断器(MCCB):裏面型 表面
配線用しゃ断器(MCCB):裏面型 裏面
配線用しゃ断器(MCCB):表面型 表面
零相変流器(ZCT)
零相変流器は、三相交流を一相ごとに電流を検出する変流器と違い、三相を束ねて一括で電流を検出します。
三相の回路が健全な場合、三相一括で電流を検出すると各相の電流が打ち消しあい、零相変流器は電流を検出することはありませんが、地絡事故(漏電)が発生すると、各相に流れる電流のバランスが崩れ、零相変流器は電流を検出します。電流が検出されると零相変流器の二次側に設置された地絡継電器が動作し高圧交流負荷開閉器(LBS)などを切ることができ、地絡事故による波及事故を防ぐことができます。
これらの機器は、高圧受電設備に設置されますが、さらに高圧で構内の変電設備に引き出されている場合は、引き出し口にも同様の機器が必要となります。
地絡継電器(GR)
地絡継電器(GR)は、高圧回路に設置された零相変流器(ZCT)が地絡(漏電)電流を検出した際に遮断器などを動作させるための信号を発生します。この信号により高圧交流負荷開閉器(LBS)などを切ることができ、地絡(漏電)が発生した回路を健全な回路から切り離すことができます。
電力会社の変電所に設置されている地絡継電器は、配電線で地絡事故(漏電)が発生した場合に変電所の遮断器を動作させ、配電線を切リ離す仕組みになっています。そのため、広範囲な停電をもたらします。
配電線には多くのお客さまの受電設備が接続されているため、お客ざまの受電設備で地絡事故(漏電)が発生しても、電力会社の同じ配電線から電気を受電しているすべてのお客さまが停電することになります。
地絡事故(漏電)が発生した際に他に影響が及ばないようにするため、お客さまの受電設備にも地絡継電器を設置する必要があります。
お客さまの受電設備に地絡継電器を設置する場合、電力会社が設置する地絡継電器よリ早く動作するように設定することがポイントとなります。
変成器(VT)
変成器は、6,600Vの高い電圧を110Vに変換する変圧器の一種です。英語で、"Voltage
Transformer"と表記されるので頭文字をとって"VT"と呼ばれます。
電圧計を接続すると高圧回路の電圧を間接的に計測することができます。また、保護継電器
と組み合わせることによって、高圧回路の異常な電圧を検出ししゃ断器を動作させることがで
きるため、電気設備の保護や事故の拡大を防止する上で重要な役割を担っています。
このほか高圧受電設備内の機器の電源などにも使用されます。変成器の必要な容量は、
110V側に接続される機器によって変わりますので、設備更新の際には電気主任技術者に確認
していただくことをお勧めします。
変流器(CT)
電気回路に流れる大きな電流を小さな電流に変換し、電流測定や異常電流を検出するための機器です。一次巻線と二次巻線の巻数比で一次側の電流を二次側の電流に変えるもので、広く計器用変成器といわれています。
英語で、“Current Transformer”と表記するので、頭文字をとって“CT”と呼ばれます。
事故などの異常電流を検出し変成器を介して保護装置を動作させ、必要なしゃ断器を切り、事故の影響が拡大しないようにする重要な機器となります。
設備更新の際には、接続される機器などによって高圧変流器の仕様が変わりますので、電気主任技術者に確認していただくことをお勧めします。
▼高圧の変流器(CT)