でんきのあれこれ

電気の専門用語

真空電磁接触器(VMC)

 真空電磁接触器(VMC:Vacuum Magnetic Contactor)は、機器の内部にあるコイルに電気を通電することにより、電磁石の力でスイッチを入れたり、切ったりすることができる高電圧用のスイッチです。
 真空電磁接触器のコイルに流れる電気は、「瞬時励磁式」という一瞬だけ電気を流して動作させるものと、「常時励磁式」という常に電気を流しているタイプの2種類があります。
 瞬時励磁式のコイルに長い時間電気を通電すると、コイルが焼損するため、それぞれの励磁方式にあった、制御回路を組んでいます。
 この真空電磁接触器は、主に高電圧の電気を入り切りする部分に真空バルブと呼ばれる部品を使用しており、負荷電流を切るときに発生するアーク電流をしゃ断する作用があります。
 開閉機能としては、数万回を超えて開閉することができます。大きな短絡電流については、しゃ断することができないため事故電流については、真空しゃ断器やパワーヒューズなど別に機械を設置しなければなりませんが、真空電磁接触器の中にパワーヒューズが内蔵できるタイプもあります。
 この開閉器は、主に進相コンデンサを入り切りするために、無効電力(鉄心などに常に流れる電気)を検出する「自動力率調整器」などと一緒に組み合わせて使用し、力率を100%に維持できるようにしています。

高圧カットアウト(PC)

高圧カットアウト(PC:Primary Cutout Switch)は、主に変圧器や進相コンデンサ、避雷器の開閉器として使用します。
 この機器は陶器でできており、ヒューズを装備して使用します。
 変圧器用では、過負荷保護を主とした「タイムラグヒューズ」や短絡保護を主とした「テンションヒューズ」などを取り付け、進相コンデンサ用として使用する場合は、パワーヒューズや素通し線を取り付けて使用します。ヒューズを取り付けて使用した場合は、短絡電流などから機器を保護することができます。
 また、この開閉器により変圧器やコンデンサなどを開閉することもできますが、一般的には1本の電線に1台の高圧カットアウトを使用するため、操作を行う際には安全のためにも停電してから開閉操作を行わなければいけません。

断路器(DS)

断路器(DS:Disconnecting Switches)は、充電された電路を開閉するために用いられますが、負荷電流は開閉できません。
通常、しゃ断器の電源側に設置して、電路を確実にしゃ断します。したがって、停電作業時の感電防止上、大切な機器といえます。
断路器には、単極単投形と3極連動形があります。3極連動形は、インタロック装置を取り付けることによって、誤操作を防止することができます。
負荷電流が定格電流の90%以上となる場合は、一段上の定格のものを選ぶようにしてください。

断路器(DS)image 単極単投形

 

 単極単投形image23極連動形image

過電流継電器(OCR)

過電流継電器は、電線や電気機器への過負荷や短絡を防ぐ目的で便われる汎用性の高い継電器です。回路図などではOCR(Over Current Relay)と表記されます。
過電流継電器は大きく分けて、誘導形と静止形の2種類あります。
従来の過電流継電器は、誘導円板や軸受け、コイルなどが内蔵された「誘導形」が使用されていました。誘導形継電器は振動に弱く、衝撃や地震によって動作してしまう欠点がありました。
近年、新たに設置する場合、大半が静止形の電子式過電流継電器となっています。
静止形継電器は、円板などの可動部が一切無く、トランジスタが動作要素に使用されていて、振動の影響、可動部の劣化の心配もありません。誘導形よりも動作範囲の誤差を小さく抑えられますので、設備の信頼性向上が図られるなど利点があります。

過電流継電器(OCR)

配線用しゃ断器(MCCB)

 配線用しゃ断器は、接続される電路(配線)に過大な電流が流れたときに、自動的に電路を負荷からしゃ断する装置で、「ブレーカー」とも呼ばれています。
配線用しゃ断器を設置することにより、配線や器具に許容を超える電流が流れないように保護することができ、配線や器具などの過熱、焼損を防止することができます。
 例えば20Aの配線用しゃ断器で保護している家庭の100Vの屋内配線で、電子レンジ(1kW程度)とドライヤー(1.2kW程度)を同時に使用すると、配線に20Aを超える電流が流れることになり、危険な状況になります。このような状況が一定時間経過すると配線用しゃ断器が働いて、配線に流れる電流をしゃ断し、配線や器具に許容を超える電流が長時間流れることを防ぐことができます。
 配線用しゃ断器は、定格の電流値と同程度ではただちには働かず、大電流ほど短時間で働きます。また、動力負荷(モーター等)の場合は、始動電流、突入電流を考慮し選定することが必要となり、これらの瞬間的で過大な電流超過によって、しゃ断器が不必要に働かない機種を選ぶことが大切です。
 それぞれの機種の特性については、各メーカーで選定のための資料がありますので、設置の際は、負荷および配線の太さにより適正なしゃ断器を選ぶ必要があります。

MCCB-裏面型(表)-image 配線用しゃ断器(MCCB):裏面型 表面

MCCB-裏面型(裏)-image 配線用しゃ断器(MCCB):裏面型 裏面

DSC05585 配線用しゃ断器(MCCB):表面型 表面