電気の専門用語
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- 高圧カットアウト(PC)
- 断路器(DS)
- 過電流継電器(OCR)
- 配線用しゃ断器(MCCB)
- 零相変流器(ZCT)
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- 真空しゃ断器(VCB)
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- トップランナー制度
- 変圧器
- ブッシング
- 力率
- 進相コンデンサ
高圧カットアウト(PC)
高圧カットアウト(PC:Primary Cutout Switch)は、主に変圧器や進相コンデンサ、避雷器の開閉器として使用します。
この機器は陶器でできており、ヒューズを装備して使用します。
変圧器用では、過負荷保護を主とした「タイムラグヒューズ」や短絡保護を主とした「テンションヒューズ」などを取り付け、進相コンデンサ用として使用する場合は、パワーヒューズや素通し線を取り付けて使用します。ヒューズを取り付けて使用した場合は、短絡電流などから機器を保護することができます。
また、この開閉器により変圧器やコンデンサなどを開閉することもできますが、一般的には1本の電線に1台の高圧カットアウトを使用するため、操作を行う際には安全のためにも停電してから開閉操作を行わなければいけません。
断路器(DS)
断路器(DS:Disconnecting Switches)は、充電された電路を開閉するために用いられますが、負荷電流は開閉できません。
通常、しゃ断器の電源側に設置して、電路を確実にしゃ断します。したがって、停電作業時の感電防止上、大切な機器といえます。
断路器には、単極単投形と3極連動形があります。3極連動形は、インタロック装置を取り付けることによって、誤操作を防止することができます。
負荷電流が定格電流の90%以上となる場合は、一段上の定格のものを選ぶようにしてください。
単極単投形
過電流継電器(OCR)
過電流継電器は、電線や電気機器への過負荷や短絡を防ぐ目的で便われる汎用性の高い継電器です。回路図などではOCR(Over Current Relay)と表記されます。
過電流継電器は大きく分けて、誘導形と静止形の2種類あります。
従来の過電流継電器は、誘導円板や軸受け、コイルなどが内蔵された「誘導形」が使用されていました。誘導形継電器は振動に弱く、衝撃や地震によって動作してしまう欠点がありました。
近年、新たに設置する場合、大半が静止形の電子式過電流継電器となっています。
静止形継電器は、円板などの可動部が一切無く、トランジスタが動作要素に使用されていて、振動の影響、可動部の劣化の心配もありません。誘導形よりも動作範囲の誤差を小さく抑えられますので、設備の信頼性向上が図られるなど利点があります。
配線用しゃ断器(MCCB)
配線用しゃ断器は、接続される電路(配線)に過大な電流が流れたときに、自動的に電路を負荷からしゃ断する装置で、「ブレーカー」とも呼ばれています。
配線用しゃ断器を設置することにより、配線や器具に許容を超える電流が流れないように保護することができ、配線や器具などの過熱、焼損を防止することができます。
例えば20Aの配線用しゃ断器で保護している家庭の100Vの屋内配線で、電子レンジ(1kW程度)とドライヤー(1.2kW程度)を同時に使用すると、配線に20Aを超える電流が流れることになり、危険な状況になります。このような状況が一定時間経過すると配線用しゃ断器が働いて、配線に流れる電流をしゃ断し、配線や器具に許容を超える電流が長時間流れることを防ぐことができます。
配線用しゃ断器は、定格の電流値と同程度ではただちには働かず、大電流ほど短時間で働きます。また、動力負荷(モーター等)の場合は、始動電流、突入電流を考慮し選定することが必要となり、これらの瞬間的で過大な電流超過によって、しゃ断器が不必要に働かない機種を選ぶことが大切です。
それぞれの機種の特性については、各メーカーで選定のための資料がありますので、設置の際は、負荷および配線の太さにより適正なしゃ断器を選ぶ必要があります。
配線用しゃ断器(MCCB):裏面型 表面
配線用しゃ断器(MCCB):裏面型 裏面
配線用しゃ断器(MCCB):表面型 表面
零相変流器(ZCT)
零相変流器は、三相交流を一相ごとに電流を検出する変流器と違い、三相を束ねて一括で電流を検出します。
三相の回路が健全な場合、三相一括で電流を検出すると各相の電流が打ち消しあい、零相変流器は電流を検出することはありませんが、地絡事故(漏電)が発生すると、各相に流れる電流のバランスが崩れ、零相変流器は電流を検出します。電流が検出されると零相変流器の二次側に設置された地絡継電器が動作し高圧交流負荷開閉器(LBS)などを切ることができ、地絡事故による波及事故を防ぐことができます。
これらの機器は、高圧受電設備に設置されますが、さらに高圧で構内の変電設備に引き出されている場合は、引き出し口にも同様の機器が必要となります。